STEAMへの取り組み

 STEAMとは、
 Science(科学)
 Technology(技術)
 Engineering(工学)
 Art(芸術・表現)
 Mathematics(数学)
の5分野を組み合わせた考え方です。

 特徴は、各分野をバラバラに学ぶのではなく、実社会の課題を解決する中で横断的にとらえる点にあります。
例えば、
 ・センサーを使って温度を測り(S.T)
 ・その装置を詳細に設計し、(E)
 ・使いやすいようにデザインし(A)
 ・計測データの分析をおこなう(M)

といったように、統合的な視点でとらえることです。
 NIICTEC-Lab.では、STEAMを各分野の知識を得ることはもちろんのこと、加えて考える力創造する力課題解決する力を育むこととしてとらえています。

 STEAMは、新時代のSociety5.0時代に必要な「自ら問いを立て、テクノロジーを活用して価値を生み出す力」に役立つとして注目されています。
 いま私たちが暮らしている社会は、新たなICTの活用を前提とした構造へと大きく変化しています。業務や研究、日常生活のあらゆる場面でデジタル技術が組み込まれ、単に知識を持っているだけでは価値を生み出せない時代になりました。加えて、社会課題においては「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態:VUCA」にあると言われています。状況を読み取り、自ら問いを立て、試行錯誤しながら解決策を導く力が強く求められています。STEAMは、こうした変化に対応するための「作る・試す・考える」を繰り返思考と実践の基盤となります。
 これからの社会では、ICT・AIを「知っている人」というよりも、それらの「知識や技術を使って、社会に貢献する価値を創り出せる人」が必要とされます。ICTやAIを活用する技術力に加え、それをどのように社会に適用するかを考える力や、その影響や責任を意識した倫理観を併せ持つことも大切です。STEAMは、技術・表現・倫理を統合的に成長させる枠組みとして、新時代を支える鍵となっています。

STEAMに関する情報発信

 NIICTEC-Lab.では、STEAM(Science ・ Technology ・ Engineering ・ Arts ・ Mathematics)を、単なる分野横断の概念ではなく、社会課題の解決と価値ある実装に結びつく実践知を心がけています。
   ■STEAMの各分野を分断せず、課題起点で統合して考えます。
   電子工作、Webサイト、APサービス、AIツール、3D造形などプロトタイプを意識します。
   Society5.0、DX、SDGs、地域課題と結び付けられるような課題の発見に努力します

STEAMは、「考える力・創る力」、AIは、その力を「拡張する技術」、DXは、社会や組織で「価値に変える実践の場」になります。STEAM・AI・DX・IoTは、Society5.0時代のICTを「使いこなす力、活かす力」になるための人材基盤です。

 NIICTEC-Lab.のSTEAM情報の発信では、育成・研究・社会という三つの視点を意識しています。

育成 と STEAM
 探究的な視点でAIやICTをどのように活用できるかに焦点を当てます。AIツールやデータ分析、Web技術を用いた実践例を紹介し、「考える」「調べる」「形にする」のプロセスを可視化します。また、教育機関におけるSTEAMのテーマから文理違わずに社会課題と接続した研究のヒントを提示します。あわせて、専門知識の有無に関わらずSTEAMに触れる入口にもなります。

研究 と STEAM
 研究面では、WebサーバやAIツールを活用した社会課題解決型のテーマを中心に発信します。DXや業務のスマート化、高齢者見守り、業務プロセスの改善など、現実の課題を対象とした実証研究を取り上げ、技術選定から設計、検証までのプロセスを考えます。IoTの仕掛けによるデータの収集・分析・可視化・自動化といった一連の流れをSTEAMの視点で整理し、その成果が実社会でどのように活かされるのかを示します。

■社会 と STEAM
 社会との接続においては、企業の業務に対するDX化を支えるSTEAM人材のあり方/役割や、地域におけるSTEAM活用の可能性について考えます。高齢者支援、各種の格差(デジタル、教育、弱者など)、防災といった課題に対し、AIやICT、IoTをどのように組み合わせ、持続可能な仕組みとして実装できるかを紹介します。その中で、SDGsやSociety5.0とSTEAMの関係性を整理し、技術と社会課題、価値創造を結び付けるモデルについても考えます。

STEAM教材と環境

 パソコンを用いたプログラム開発にも目を向け、センサー制御、データ処理、Web連携などを含むソフトウェア制作にも取り組みます。ハードウェアとソフトウェアの両面を扱うことで、「作って終わりではなく、「使われる仕組みを意識した情報発信をおこないます。
 NIICTEC-Lab.のSTEAM教材と環境は、特定の機材を使うこと自体が目的ではありません。技術を選び、組み合わせて、目的に応じて設計するを体現するための環境としています。
 NIICTEC-Lab.は、実際に手を動かし、試し、改善するプロセスを考えています。ただ、アイデアを出すだけでなく、動くもの・使えるものとして形にする体験を通じてSTEAMの本質をとらえます。

プログラミングと制御の基礎
 micro:bit mBot をはじめ、Raspberry Piなどのマイコン教材を活用します。これらに、ライントレーサ人感センサー超音波温度といった簡易センサー類を接続し、環境の変化をデータとして取得し、制御に反映させます。センサーから得た情報をもとに動作を変える体験は、AIやIoTの考え方を直感的に理解する入口になります。

プログラミング言語
 Python を用いた制御やデータ処理をおこない、取得したデータをWebと連携させ、Html/cssJSPJavaScriptを介してWebブラウザによる可視化や遠隔操作を行うなど、Web技術サーバ構築との連携も視野に入れています。
単体の装置開発にとどまらず、システムとして考えることを意識します。

電子工作
 電子工作に必要なケースや器、治具といった構造部品は、TinkerCAD を用いて設計し、3Dプリンタで出力する手順を示します。コンピュータ上で設計した形状が実物として現れる経験は、設計・試作・改善というエンジニアリングの基本サイクルを体感する機会になります。

文科省・教育政策

1.学習指導要領への反映
 文部科学省は最新の学習指導要領で、教科横断的な学びや理数教育の充実を明記し、課題発見・解決型の学習を重視しています。これはSTEAMをとらえた考え方と一致し、実社会で必要な力の育成を目指しています。

2.教科横断・探究的学習の推進
 文科省は「STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進」を進めており、理系だけでなく芸術や倫理、社会的視点も含めて統合的に学ぶことを政策として重視しています。

3.Society 5.0 と教育政策パッケージ
 内閣府・文科省・経産省が協働する「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成政策パッケージ」で、STEAM探究の重要性が示され、大学・企業との連携も視野に入れた仕組みづくりが議論されています。

4.高等学校向け支援事業(DX推進)
 2024年度から文科省は「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」を実施し、ICT・STEAM探究活動を支援する補助金などでデジタル活用の強化を図っています。

5.教員育成・現場支援の課題
 STEAMを実践するには教える側の理解・スキル向上も必要で、専門性ある技術情報や教材の提供が今後の大きな課題とされています。

文部科学省は、STEAMを新しい指導要領や政策に組み込み、探究力や思考力において未来型スキルの獲得を目指しています。

<参考>
  文部科学省:STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進についてhttps://www.mext.go.jp/studxstyle/index3.html