2025年の崖

1.学び3.DX

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」の中で提示した概念で、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まなかった場合に予想される2025年以降の巨大なリスクや経済損失を指します。
既存のITシステムが抱える課題を克服できずDXを推進できなかった場合、2025年以降、最大で年間12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしています。
この「崖」の主な要因と、企業や日本経済に与える影響は以下の通りです。

1. 既存システムの老朽化とブラックボックス化

多くの日本企業では、長期間稼働し続ける情報システム(=レガシーシステム)老朽化・肥大化・複雑化しており、これがDXの足かせとなっています。
過去からの場当たり的な改修が繰り返された結果、プログラムのロジックが極めて複雑になり、中身がわからない「ブラックボックス」状態になっています。

2. 「技術的負債」によるIT投資の硬直化

レポートによると、日本企業のIT関連費用の約80%が現行ビジネスの維持・運営(ランニングコスト)に充てられています。
レガシーシステムの維持に多大なコストと人手が割かれるため、将来の成長に向けた「攻めのIT投資」にリソースを回せなくなる「投資の硬直化」が起きています。

3. IT人材の不足と技術継承の断絶

古いプログラミング言語(COBOL、FORTRAN、アセンブラ/機械語、コンピュータ特有のローカル言語など)を理解する人材が退職し、システムのブラックボックス化が進むことで、予期せぬシステム障害やセキュリティリスクやトラブルが極大化する「運用の破綻」が懸念されています。
また、多くの企業がシステム開発を外部ベンダーに「丸投げ」しているため、社内にノウハウが蓄積されず、自走できなくなっている現状があります。

4. 競争力の喪失

レガシーシステムが足かせとなり、市場の変化に合わせた迅速なビジネスモデルの変更やデータの活用ができなくなることで、企業はデジタル競争に敗北し、データの滅失や流出といったリスクも高まります。

2025年の崖は、単なるITの問題ではなく、日本企業が変化の激しいデジタル時代に生き残れるかどうかの「生存戦略」に関わる経営課題です。
これを飛び越えるためには、レガシーな思考とインフラから脱却し、本格的なDXを推進することが不可欠であるとされています。