
制約理論(TOC)を現場で実行するためには、概念だけでなく「仕組み」が必要です。
その仕組みこそがDBRであり、その運用ルールがバッファ・マネジメントです。
1. ドラム・バッファ・ロープ(DBR)とは?
システム全体の生産ペースを、ボトルネック(制約になる仕事)の能力に合わせて最適化する仕組みのことです。
- ドラム(Drum):【ペースメーカー】
- 太鼓を叩いて行進の歩調を合わせるように、ボトルネックの処理スピード/タイミングを合わせてシステム全体の出力(スループット)を決定します。
ボトルネック以上に速く働こうとするのは無意味であり、むしろ有害になります。
- 太鼓を叩いて行進の歩調を合わせるように、ボトルネックの処理スピード/タイミングを合わせてシステム全体の出力(スループット)を決定します。
- バッファ(Buffer):【余裕】
- ボトルネックの前には常に「仕事のストック」を置いておきます。
もし前工程で小さなトラブルがあっても、ボトルネックが「仕事がない」という理由で空転するのを防ぐための時間的な余裕です。
- ボトルネックの前には常に「仕事のストック」を置いておきます。
- ロープ(Rope):【投入制限】
- ボトルネックが一つ仕事を完了したときだけ、新しい仕事を投入する仕組みで、ボトルネックの前後で仕事が非連結に進むことを防ぎ、足並みを合わせて仕事を進めます。
これにより、システム内の仕掛品(WIP)が一定以上に増えるのを防ぎます。
- ボトルネックが一つ仕事を完了したときだけ、新しい仕事を投入する仕組みで、ボトルネックの前後で仕事が非連結に進むことを防ぎ、足並みを合わせて仕事を進めます。
2. バッファ・マネジメントとは?
個々のタスクではなく、プロジェクト全体のバッファ(余裕)を管理・監視することで、「今、どこに介入すべきか」を判断する管理手法です。
バッファの種類
① プロジェクトバッファ(Project Buffer)プロジェクト全体の終わりに設定するバッファで、最終納期の遅延を防ぐ、プロジェクトの遅延を未然に防ぎ、遅延の兆候を早期に発見する目的があります。
② フィーディングバッファ(Feeding Buffer)クリティカルチェーンに合流する前に設定するバッファで、非クリティカルタスクがクリティカルタスクに影響を与えないようにする目的がある。(クリティカルタスク:
③ リソースバッファ(Resource Buffer)重要なリソースが必要になる前に通知を与える仕組みで、ボトルネックのリソースが準備不足にならないように、重要なボトルネックに集中しないように効率よくリソースを配分する目的があります。
従来の進捗管理(パーセント管理)ではなく、バッファを3つの色に分けて視覚的に管理します。
| バッファの状態 | バッファ消費の状況(パーセント値は例) | 必要なアクション |
| 緑(正常)🟢 | 十分な余裕がある。 (30%未満の消費) | 何もしない。順調。 予定より順調。 |
| 黄(注意)🟡 | 余裕を少し食いつぶしている。 (30%以上~75%未満の消費) | 状況を注視し、計画を立て直す。 注意が必要。 |
| 赤(危険)🔴 | バッファが底をつきそう。 (75%以上の消費) | 最優先で介入。 何か手を打たないと遅延確定。 リソースを投入して遅延を取り戻す。 |
なぜバッファ・マネジメントが画期的なのか?
ITプロジェクトでは「すべてのタスクを予定通り」に進めようとして、些細な遅延に一喜一憂しがちです。しかし、バッファ・マネジメントを導入すると、「緑や黄色のうちは現場に任せ、赤になったときだけマネージャーが動く」という明確な基準ができます。
また、「何が遅延の原因なのか」「どこに手を入れれば良いか」を特定することができます。
これにより、過剰な介入(マイクロマネジメント)を防ぎつつ、本当の危機を早期に発見できるようになります。
「頑張って全員を働かせるのではなく、『あえて何もしない時間』を許容することが、最短・最速のデリバリーへの近道とも言えます。


