「人生の本舞台は常に将来にあり」。
この言葉は、政治家・尾崎行雄氏の言葉として知られています。私にとっては、「人間万事塞翁が馬」と並ぶ、もう一つの大切な座右の銘です。人生の節目や、少し立ち止まりたくなる場面で、静かに背中を押してくれる言葉だと感じています。
この言葉が示しているのは、過去の成功や失敗に人生の意味を固定してしまわない、という姿勢ではないでしょうか。人はどうしても、過去の実績や経験、あるいは後悔に目を向けがちです。しかし尾崎行雄氏は、人生の中心は「これまで」ではなく、「これから」にあるのだと語っています。この視点は、非常に前向きでありながら、同時に厳しさも含んでいます。
私自身、教育や研究、技術分野に関わっていると、「これまで何をしてきたか」が評価の軸になりやすい場面に多く出会います。実績や経歴は確かに重要です。しかし、それだけで未来の価値が決まるわけではありません。むしろ、これから何を考え、何に挑戦しようとしているのかが問われる場面は、これからますます増えていくように感じます。
ICTが急速に進展する現在では、過去の常識や成功体験が、そのまま通用しないことも珍しくありません。昨日まで正解だった方法が、今日は最適とは限らない。そのような時代において、「人生の本舞台は常に将来にあり」という言葉は、過去にしがみつかず、未来に向けて学び続ける姿勢の重要性を教えてくれます。
この言葉を座右の銘にしている理由は、希望を持たせてくれるからだけではありません。将来が本舞台であるということは、今この瞬間の選択や行動が、その舞台を形づくっていくという意味でもあります。未来に期待するだけでなく、未来に責任を持つこと。その覚悟もまた、この言葉には含まれているように思います。
過去に思うようにいかなかった出来事があったとしても、それで物語が終わるわけではありません。これから先に、まだ本当の舞台が残っている。その考え方は、年齢や立場を問わず、多くの人にとって支えになるのではないでしょうか。
人生の本舞台は、常に将来にあります。
そう信じることで、今日という一日を、未来につながる一歩として丁寧に積み重ねていきたいと考えています。



