
デジタイゼーションとデジタライゼーションは、いずれもDX(デジタルトランスフォーメーション)に至るまでの重要な段階(ステップ)ですが、その対象範囲や目的において明確な違いがあります。
総務省や経済産業省の資料に基づき、それぞれの定義と違いを詳しく解説します。
1. デジタイゼーション(Digitization)
デジタイゼーションは、「アナログ・物理データのデジタルデータ化」を指す第1段階です。
既存の業務フローを大きく変えることなく、部分的にデジタルツールを導入して特定の工程を効率化することを目的とします。
• 具体的な内容:紙の書類をスキャンしてPDF化する、手書きの伝票をExcelに入力する、印鑑を電子署名に置き換える、といった、いわゆる”ペーパーレス化”の取り組みです。
• 主な目的:物理的制約の排除、コスト削減、局所的な事務効率の向上です。
• 総務省の定義:会社内の特定の工程における効率化のためにデジタルツールを導入することとされています。
2. デジタライゼーション(Digitalization)
デジタライゼーションは、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」業務プロセス全体を効率化・最適化し、新たな価値を創出することを目指します。
• 具体的な内容:SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)による顧客分析、オンライン会議の導入、ワークフローのシステム化による承認プロセスの迅速化などが含まれます。
• 主な目的:既存プロセスの最適化、生産性向上、顧客に対するサービス提供方法の構築です。
• 総務省の定義:自社内だけでなく外部環境やビジネス戦略も含めたプロセス全体をデジタル化することと定義されています。
3. デジタイゼーション・デジタライゼーション・DXの関係
これら3つの概念は、一般的に以下の順序で上位化・包括されていく関係にあります。
1. デジタイゼーション:局所的なデジタル化。特定データ・媒体が対象となって、物理的制約の排除やコスト削減を目的に、手段をデジタル化(守り)を行います。
2. デジタライゼーション:プロセスのデジタル化による最適化。個別の業務プロセス が対象となって、その業務プロセスの最適化、生産性向上を目的として、プロセスの効率化(改善)を行います。
3. DX:組織横断的な変革、ビジネスモデルの刷新、競争優位の確立が対象となり、企業全体やビジネスモデル全体に対して新たな価値創出、競争優位の確立を目的として、今までとは、非連続的な変革(攻め)を行います。
総務省の「令和3年版 情報通信白書」では、これまでの「単なる省人化や自動化、効率化」はデジタライゼーションまでの段階に留まっており、DXの本質はそれらを手段として活用し、「既成概念の破壊を伴いながら新たな価値を創出する改革」にあると強調されています。


