ICT研究テーマの選定にあたって

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ICT研究テーマの「選び方」が重要

ICT(情報通信技術)を活用した研究テーマは、年々増え続けています。DX、AI、STEAM、データ活用、IoTなど、言葉だけを見ると難しく感じるかもしれません。しかし重要なのは、新しい技術を使うこと自体ではありません
社会や教育、産業の中で「何が課題になっているのか」を理解し、ICTを使ってどのように改善・変革できるかを考えることが研究の核心です。

本記事は、ICTにかかわる研究テーマを整理し、だれでも理解できる形で考え方を示します。これは、NIICTEC-Lab.が重視する「社会とつながる学び・研究」という方針にも沿った視点です。


注目されるICT研究テーマ

1. DXで仕組みを変える研究

DX関連研究では、「業務を効率化する」だけでなく、仕組みそのものを再設計する視点が重視されています。
例としては、
  ・現場の業務プロセスの改善
  ・自治体サービスのデジタル化
  ・企業の業務可視化
などがあります。これらはプログラムの難易度よりも、「現状分析力」が研究成果を左右します。


2. AIを「使う」から「支える」へ

AI研究は、単にAIを使う段階から、AIを安全に・公平に・効果的に使う仕組みを考える研究へと進んでいます。
たとえば、
  ・教育現場での生成AI活用ルール設計
  ・AIの判断を人がどう確認するか
  ・誤回答や偏りへの対策
といったテーマは、技術だけでなく倫理や制度とも深く関わります。


3. STEAMで教科を横断した社会課題の解決研究

STEAM分野では、社会課題をテーマに、複数分野を組み合わせる研究が主流になっています。
  ・センサーで環境データを取得し
  ・データを分析し
  ・課題解決案を提案する
といった流れは、中高生の探究活動から大学研究まで共通しています。


研究テーマを考える際の注意点

ICT研究テーマを考える際、注意すべき点があります。それは、技術先行になりすぎないことです。
「AIを使いたい」「IoTを使いたい」から始めると、研究の目的がぼやけてしまうことがあります。
また、
  ・データ量が十分か
  ・実証(PoC)が可能か
  ・社会や教育現場で再利用できるか
といった現実的な制約も考慮する必要があります。研究は「できそうかどうか?」も重要なポイントです。
PoC(Proof of Concept)は、概念実証と訳され、新しいアイデアや技術・サービスなどの実現可能性を検証するプロセスです。
本格的な開発を行う前にプロトタイプとして検証を行います。これは、アイデアが技術的に実現可能かどうか、期待される効果が得られるかどうかを確認し、また、無駄なコストや工数を削減しながら、サービスの立ち上げや技術の導入を効果的に進めてゆくことを指しています。


研究テーマ設計の基本ステップ

研究テーマを設計する際は、次の手順が有効です。

  1. 社会・教育・地域の課題を観察する
  2. 課題を言葉で整理する
  3. ICTで「何が変えられるか」を考える
  4. 小さな実証(PoC)を設計する
  5. 評価指標を決めて検証する

この流れは、卒業研究だけでなく、PBLや授業設計、実証実験にも応用できます。


おわりに

ICT研究は、特別な人のためのものではありません。身近な疑問を、技術で確かめ、社会につなげる活動です。求められるのは、「新しい技術を知っていること」よりも、技術を使って社会をどう良くするかを考える力です。この視点を持つことが、研究・学びの第一歩となります。